マクスウェルは電磁気学の集大成の中で空間を移動する電磁エネルギーとして「電磁波」を理論的に予言した。それを実験的に初めて確認したのがヘルツであり、ライデン瓶で高電圧を発生させたとき少し離れた金属の隙間に火花が飛ぶのを見たことが発端であった。彼は電磁波に技術的価値があるとは考えなかったという。しかし、これに興味を抱いたマルコーニは通信技術に応用し、さらに多くの技術者により電波の利用は20世紀の革新技術の一つとなった。
ヘルツの実験を「高周波スパークの空間的移動」と捉えてヘルツの当時には無かった実験器具を使って実施した。

  

1)実験器具

Fig.1 誘導コイル
   
    Fig.2 ネオン管
    Fig.3 圧電着火器
Fig.4 テスラコイル
Fig.5 シンギングテスラコイルと付属部品
電波技術および今回の実験に関連する科学・技術の歴史
  • 1836年 誘導コイルの発明
  • 1844年 モールス有線送信
  • 1880年 キュリー兄弟による圧電効果の実験
  • 1864年 マクスウェルによる電磁波の存在の予言
  • 1886年 ヘルツによるライデン瓶(後に誘電コイル)と金属線検知器
          を用いることによる電磁波の存在の実験的確認       
  • 1890年 テスラコイルの発明
  • 1894年 ヘルツ死去
  • 1895年 マルコーニ2.4kmの無線通信
  • 1896年 マルコーニによる実用的な通信機(火花放電)
  • 1901年 マルコーニによる大西洋横断無線通信 
          (1909年 ノーベル賞受賞)
  • 1904年 フレミングによる二極真空管の発明
  • 1906年 フェッセンデンによる世界最初の無線放送(高周波発電機)
  • 1906年 ドフォレストによる三極真空管の発明
  • 1910年 ネオン管の発明
  • 1920年 アメリカで世界最初の公共ラジオ放送
  • 1922年 ラングミュアによる硬真空管
  • 1927年 ファーンズワースによるテレビシステム、
           高柳健次郎のテレビシステム
  • 2007年 シンギングテスラコイルの発表
  • 2)実験−1 誘導コイルを発信器としたネオン管の点灯

       
    Fig.6 誘導コイルとネオン管の両方にアンテナをつけた実験
        Fig.7 
        
    Fig.8 誘導コイルにアンテナをつけない実験
      Fig.9
     

    3)実験−2 圧電発火器を発信器としたネオン管の点灯

    Fig.10 圧電発火器のスパークも離れたネオン管を点灯できる
    Fig.11 実験の様子  

    4)実験−3 テスラコイルを発信器としたネオン管の点灯

    Fig.12 テスラコイルを発信器としたネオン管の点灯
    ネオン管に導線のアンテナをつけると点灯する。アンテナがなくても管に手を触れると点灯する。

    Fig.13 実験の様子
    Fig.14  シンギングテスラコイルを発信器としたネオン管の点灯

    5)参考文献