エルステッドによる電磁気の発見(1820年)とファラデーによる電磁誘導の法則の発見(1832年)の間の1824年、アラゴは、動く磁石は磁性を持たない金属(銅、銀など)に力を及ぼすことを見つけた。磁石が動くとき金属中に渦状の電流を誘導しこれが磁石と金属の間に力を生み出す。

1)実験ー アラゴの円盤 


Fig.1 銅の円盤の下で磁石を移動させる

Fig.2                

Fig.3 渦電流と力の発生のメカニズム
(詳細はFig.4~7)

渦電流の発生と力が発生するメカニズム


Fig.4 銅板の下で磁石(この場合
はN極)が動く

Fig. 5 磁石の動きを「妨げる」ように、
レンツの法則に従った磁場を生み出す
ように渦電流が発生する。
  

Fig.6 磁石の位置の銅板中の磁場と
電流

Fig.7 右手のひら電・磁・力則
により磁石が動く向きに銅板に
力がはたらく

2)実験 コインストッパー 

  

Fig.8 発泡ポリスチレンの板に磁石を埋め込み
それをプラスチックのシートで覆う。シートの上で一円玉を滑らせる。
     
             
Fig.9 実験の様子
Fig.10 一円玉中で発生する渦電流の向きと力について説明せよ。
  

3)誘導モーター



Fig.14  壊れた扇風機のモーター部分。永久磁石も整流子・ブラシもない。誘導モーターだ。


Fig.15 誘導モーターの原理 (左)アルミの筒(ロータ)の周囲を磁石がまわりロータに渦電流を起こさせて回転させる。(右)磁石の代わりにロータのまわりにいくつかのコイルを置き、磁場の向きを変動させて渦電流を起こさせロータを回転させる。

                
Fig.16  誘導モーターの模型 
   

4)渦電流の応用


Fig.17  インダクションヒーター(IH)

Fig.18  金属探知機

4)参考文献

1. Brian Baigrie, "Electricity And Magnetism: A Historical Perspective (Greenwood Guides to Great Ideas in Science)," Greenwood Press, 2007., p80 [Google Books]
2. 日本電産(株)、「モーターとは」