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山座同定は知的パズルだ (1)

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2020.4.24 灰色の雲が空全体を覆っている時、どこか雲の切れ目から陽の光が差し込んで大岳山を照らし出して
普段とは違って山容がはっきり見えた。照らし出された大岳山の手前に二つの山が浮かび上がった。上高岩山と高
岩山だ。

山、峰、尾根、峠、丘、谷・・・眺めているとそのどれもが個性を持った「存在」だ。地図で名前を知ると親しみが増して人格を持った存在になる。我が家から見える風景の主役は大岳山。ポッコリとした丸みはどこから眺めても識別できる。その手前の麻生山の優しい二つの峰の形も美しい。撮影した山の写真に名前を入れていくことにした。

山、峰にとって標高が1番の個性。山、高きが故に尊からず、とも思うがやはり高い山はそれだけで魅力がある。地図に名前のない峰は標高のみを示した。個性豊かな峰で名前がないと残念に思う。現地に行くと山頂に名前の札が貼ってあったりする。歴史的な根拠があるのか誰かが勝手に命名したかはわからないが、名前を見るとなぜかほっとする。

峰と峰を結ぶのは尾根。下の写真では、大岳山を主峰とする馬頭刈(まずかり)尾根に連なっているのが鶴脚山と馬頭刈山。日の出山を主峰とし麻生山に連なる金比羅尾根。そして、一番手前が三室(みつむろ)山を主峰とする三室尾根だ。尾根と尾根に挟まれた谷には渓流や温泉がある。

「山座同定」ー 山頂など展望の良い土地で景色の中の山々の名前を特定することをいう。見慣れたはずの山々も観察する場所が変わると形が変化したり思いがけない位置関係になっていたりする。知らない山々の山座同定は地図を駆使することになる。実際にやって見るとパズルを解くような面白さがあり、始めると納得できる答えが得られるまで寝ているときに夢にも現れることがあるほどだ。

山座同定は現地から始まるが、詳しく調べたいので写真撮影。そして写真と地理院の地形図と山を比べながらにらめっこ。昔は1/2.5万の地形図を買い集めたものだが、今は国土地理院のサイトで必要な地域を適切な縮尺で見ることができるし印刷もできる。Google Earthも地形図では得られない情報が得られるのでよく利用する。

以下のV2以下の写真では色々な場所から日の出山、御岳山方面を撮影したり逆側から青梅方面を撮影して、なぜ我が家から御岳山が見えないかを明らかにしようとした。同時に色々な峰々の名前や標高を地図から特定した。C18~C25およびT23~T26は送電鉄塔の番号を示す(Cは新秩父線、Tは新所沢線)。
数字は標高、破線と[ ]の地名は山の裏側にあることを示す。

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  山の写真の撮影場所と向き 数字は写真の番号、赤い線は歩いた所を示している。
(黒い矢印は木々などのために視界不良で撮影していないことを示している。)
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V2 御岳ケーブル駅から東方 眼前の日の出山の左に高峰、三室山、愛宕山の3っつの峰が少しずつずれて重なり遠方に市街が見える。
つまり市街地の場所によっては御岳ケーブル駅の灯が見えるのが理解できる。
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V3 御岳山頂から東方 中央の日の出山の左右に高峰と麻生山。青梅駅方面は日の出山に遮られて見えない。
つまり、青梅駅近くからは御岳は見えないが、より南なら日の出山と麻生山の間に見えるはずだ。
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V4 御岳山の下にある長尾平展望台から東方  日の出山を主峰とする金比羅尾根の展望がよい。
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V4b 長尾平から西方  右に御岳山、左に奥の院
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V5

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奥の院山頂から東方  V6の写真と比較すると我が家を含む青梅駅方面は日の出山にちょうど遮られていることがわかる。
これが我が家あたりから奥の院が見えない理由であろう。我が家から北や南に行った青梅の広範囲の場所からは奥の院は
見えると思われる。V7(北の青梅丘陵)、V8(南の長淵丘陵)では見えている。
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奥の院山頂から南西方向  正面は大岳山。ここから見る形は自宅から見る形とかなり違う。でっぱりが
中央にあってある程度「おっぱい」の形に近い。トバノ岩山、鋸山に続く尾根は青梅線の終着駅「奥多摩
駅」に至るコースがある。
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V6

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日の出山から東方  
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さらに詳しい写真と「山座同定」はこちら
日の出山から西方
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V7

青梅丘陵の辛垣山付近から南西  日の出山、奥の院、御岳、ケーブル駅の並び方が変わって見えて面白い。
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国土地理院の3D地図「大岳山」と比較してみた
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V8

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長淵丘陵の赤ぼっこから北西  奥の院が見えている。
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長淵丘陵の赤ぼっこから東方
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V9 青梅丘陵・金刀比羅神社から南東  大岳山を主峰とする馬頭刈尾根がよく見える。峰の同定は、下に示したように地図を使用して実施した。鶴脚山、馬頭刈に加えてつづら岩や916峰が明確に
同定できた。金比羅尾根や三室尾根は特徴ある峰が少ないがタルクボ峰や肝要峠が同定できた。
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V9b 金刀比羅神社からの山の写真と地図(国土地理院1/25000)の対応を示す作図2

左の図を回転した図
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V10 畑中丘陵から北西  雲ではっきりしないが、麻生山と日の出山の間に奥の院と御岳山が見えると思われる。
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日向和田丘陵の麓の明白院から東方                     青梅丘陵・裏宿あたりから南東
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長淵丘陵の西端の愛宕山から北東 我が家方面が見えることを期待したが視界不良      三室山中腹の金刀比羅神社から東方 かんぽの宿青梅がが良く識別できる
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二俣尾駅近くの奥多摩橋から南東  丘陵の景色を撮影              三室山から南東に伸びる梅の木林道から隣の尾根の麻生山を撮影  麓の家は胆要のあたりか。
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V17

V18

梅の木峠から南西  麻生山から続く金比羅尾根。遠方に大山。                 梅の木峠の下、つるつる温泉近くの三ツ沢の森から南西 麻生山を見上げる
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V19

勝峰山より北西  (2020.4.6)                                          勝峰山より東から南 
 勝峰山からのロンデン尾根、麻生山がよくわかる。麻生山の向こうに日の出山と大塚山が重なって見える。       勝峰山を降りた平将門は将門坂を登って尾根を越え北大久野川を上って青梅方面に進んだという。
                                                        二ツ塚中継所のアンテナが良い目印になっている。そこから馬引沢峠、赤ボッコ、愛宕山に連なる丘陵の稜線がよくわかる。(アンテナの手前に
                                                        ある処分場が見えないのが不思議だ。処分場手前の小さな丘陵に隠れているのだろう。)南遠方に大山が認められる。

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V20 青梅市河辺西友屋上からの眺望と山の同定 (2020.4.14 撮影)  大岳山が冠雪したので青梅市内で一番眺望に優れる西友で撮影に来た。富士山も観測されたが割愛している。
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送電塔

送電塔の同定

右の写真は、日の出町三ツ沢の森から撮影したもので4基の送電塔が写っている。ハイキングの地図を作成したり、山の同定をする上で遠方からも見える送電塔が役に立つことに気づいて、サイトで調べた。送電塔の写真を撮る趣味の方がおられることに驚いた(例:)が、それぞれの塔の位置に関する情報はほとんどない。東京電力関係の系統図があるが塔の位置情報はない。自分で歩いて確認をしたものに加えて、ハイカーのブログで位置と番号がはっきりしている記載(例:)から新秩父線と新所沢線の番号を特定しハイキングマップに記入した。

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  大岳山からの雄大な眺めは下の写真をクリックしてください。
大岳山 Otake