2  インドなるもの・・・

Khajuraho  カジュラホー

 
 

11/19( 日) 夜行寝台に続いて、超満員のバスに5時間。車内で「最もインド的なもの」を見る。カジュラホーでヒンズー寺院遺跡(世界遺産)のみごとな人物彫刻を満喫。黄兆元君に会う。 


  









                                               カジュラホーの彫像群


チェンナイ行き夜行列車で、午前3:45に寝台から降り荷物をまとめる。ジャンシーには午前4:00到着の予定だがいっこうに停まる気配がない。皆寝ていて話しかける人もない。まあ、なにがあってもいいや。26分遅れてジャンシー(Jhansi)駅に停車した。駅には出口を示す標識もない。Infoらしきところで話をした後、構外へ。オートリキシャーで深夜の街をおよそ15分、バスターミナルに着く。カジュラホー行きのバスが停まっている。午前6時発でまだ一時間以上あるはずなのにすでに沢山の人が乗っている。観光客らしき人はいない。私の荷物はバスの屋根の上へ引き上げられた。


席がないので立っている。車掌が来て最後列に近い席を確保してくれて一安心。しかし、他に立っている人もいるのにどうして座れたのかな???隣には痩せこけたおじさん。そこにビジネス鞄を持ったインド人の青年が乗ってきた。例の車掌が私のとなりのおじさんに席を空けろと話をするとおとなしくその青年に席を譲り自分は立っている。旅行者らしい青年が乗ってきた。車掌が私の席のすぐ前にすでに座っている人に譲れというと、言われた人はいやだと言っているらしく口論していたが、結局車掌が無理にその人を立たせてその旅行者が座った。座った旅行者に話しかける。香港からきた黄兆元君。


このジャンシーとカジュラホーはデカン高原の北の端にある。ジャンシーはデリーの東南約400kmに位置し。カジュラホーはさらに175km東南にある。世界遺産のあるカジュラホーは大きな鉄道もない不便なところだが、空港はある。今回、空路をとることも考えたが、あえて夜行列車と長距離バスを選んだ。


6時10分超満員のバスが出発。身動きが取れない。そのうち陽が昇り褐色のがたごと路を走っていく。次の街に着くと、この超満員のバスにさらに人が乗り込んできて立ち席はぎゅーぎゅー詰めの状態。

隣のビジネス青年のおでこには赤いマークがある。雑談を始める。彼の話では、彼
もこの超満員の乗客も毎日こうして「通勤」しているのだという。立っている人たちはカジュラホーで働くそうだ。その青年が「この連中は、金のためにこうして働いているのさ。まるで動物だね」と言うのにオヤと思う。「立っている人と座っている人はバス料金が違うのか?」と聞いてみると「同じだよ」とけげんな顔。そうか、と思い、「さっきあなたが他の人の席に座れたのはあなたのクラスが上だからか?」と聞くと、にやっとして「そうだ」。そうか、これがインドなんだ・・・
外国人の自分にはわからないけれど、インドではお互いに相手がどのクラス(カースト)にいるのかすぐ理解できるにちがいない。そう考えて観察すると、顔つき、態度がまったく違うグループがバスに乗り合わせていることがわかる。それと、われわれ外国人旅行者は高いクラスとして車掌は扱ってくれたが、譲る方は必ずしも納得していない様子だ。


もうバスに乗って4時間以上だ。さらにバスは何カ所かに停まり、人が入ってくる。男の中には屋根の上に乗車する人もいる。ときどき怒声が飛び交う。私は朝から何も食べていない。水は少し飲んだだけ。トイレに行きたくなったら困るなぁ、と思っていたがこんな状況では体がそれに順応するのか結果的にその心配はなかった。小さなこどもたちも居るが、ぎゅうぎゅう詰めの人たちも慣れているのかその心配は無いよう。皆、おとなしくしている。ビジネス青年は途中で降り、11:10に目的のカジュラホーに到着し、5時間のすし詰めバスの旅は終わった。バスを降りるとこんどはリクシャーとホテルの客引きが私と黄君のまわりにしつこくまとわりついて大変。強引に引っ張られるようにして黃君とともにHotel Yogiへ落ち着く。一泊Rs150(約$4.5)!


黃君とカレーの昼食。 遺跡はすぐ前。 ここは、10世紀から12世紀にかけて建造されたという。 ひろびろとした公園に塔が点在している。ひとつひとつ歩いて見て回る。塔の外壁、内壁に彫られた人物像が息を飲むほどすばらしい。そこで今でも生きているようにさえ感じる。なかにはエロチックな彫像もある。それが健康的な
感じである。全体に、生きていることはこんなに楽しいんだ、というメッセージがあるように思う。

夜はまたまた、チキンカレーとナン。シャワーを使い11時就寝。

アルバムを楽しんでください。


11/20( 月) カジュラホーの2日目は別の寺院を見学。バスでサトナ駅へ。そこから夜行列車でヒンズー最大の聖地バラナシーへ向かう。


朝、黃君と朝食をともにした。彼とは別行動で、私は東にあるカジュラホー村と東の寺院方面
を歩くことにする。こじんまりとした村に向かうと少年達がつぎつぎまとわりついてくる。自らガイドを買って出てお金をもらうのが目的らしい。彼らとのつきあい方に結構神経を使い、消耗する。中には素朴に写真を撮ってくれという子供達もいる。
東の寺院、南の寺院ともにすばらしい人物彫像を見学した。空に白い翼の鷲が3羽飛んでいるのを
見る。


2時、バスで東へ、サトナに向かう。今回のバスは空いていてほっとする。やはり褐色の大地が続く。途中で停車したときバス停に座っている子供達が私を見て熱心に手を振る。外国人が珍しいのか?5時半サトナに到着。駅まで10分サイクルリキシャー。駅前でカレーとナンでディナー。その後インターネットカフェに寄る。


サトナのプラットホームで何人かの物乞いに喜捨をした。そのうちのひとり、いざりの女性が印象的であった。食堂車の前にじっと座っていると列車の人が食事を包んであげていた。サリーで顔を覆っているので年齢もわからないが子供のように小さく手や腕は骨ばってとても細く見えた。その腕で体を持ち上げホームを移動していくのが痛々しい。静かなその姿は、日本語の「ひじり」(聖=乞食)がふさわしく思えた。そんな感慨も、列車が午後7時50分頃到着して急にあわただしい緊張に代わった。私の乗る車両を見つけるために走り回る。8時10分出発。今回の寝台は列車に平行で上下2段の上であった。明日は朝5時頃終着のバラナシーに到着予定だ。 「次へ」


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