11 島に生きる神々

ムンバイ - エレファンタ島

 

12/14( 金) ムンバイのYWCAインターナショナルの宿舎へ。船でエレファンタ島に渡り、石窟のヒンズー寺院遺跡観光。


ムンバイ  ムンバイの第一印象は、古式豊かなビルが沢山ある大都会ということである。首都デリーでは、表玄関である駅周辺には都会らしいたたずまいが無いのに比較してムンバイは整った市街地があり大違いだ。また、デリーはオートリクシャー・サイクルリキシャーの街であったが、ムンバイでは規制があるのか見かけない。ここは最近までボンベイと呼ばれた。ボンベイはポルトガル人がつけた名前ということでインド名に変えたという。インドでもヒンズー主義が盛んな地域といわれる。インド門のそばに立つ像は、反ムガール、反英を旗印に民族自立闘争をした英雄の騎馬像ということだ。


YWCAインターナショナル
  ムンバイの観光の中心地であるインド門近くにあるYWCAインターナショナルの宿舎に移動。タクシーで行くが住所を言っても地図を見せても、タクシーの運転手はよくわからない様子であたりをぐるぐるまわる。英語も読めないのかも知れない。昨日も同じ目にあったが、タクシーの運転手は文盲が普通であてにならない。最後は、赤信号で隣に止まった車に乗った人に聞いてようやく探し当てた。YWCAインターナショナルは、博物館、学校などがある良い環境にある。部屋は新しくて広く、清潔。食事付きと聞いてちょっととまどったが、味がとても良い。その行き届いたサービスにとてもリラックス。久美子は、最後に良いところに泊まれたとご満悦。


ホテル・タージ・マハール  YWCAインターナショナル宿舎から歩いて15分ほどでインド門とホテル・タージ・マハールがある港へ。 ホテル・タージ・マハールの美しく豪華な建物に見とれる。これは1903年にインド人の富豪TATAによって建てられたものである。TATAは、インドのあるホテルで自分が非ヨーロッパ人であることを理由に利用を断られた経験から、インド人の誇りとしてこのホテルを建てたという。そばのインド門は英国のインド支配の象徴的意味で1911年に建てられたものである。

久美子のたっての希望で、このホテルの日本レストランへ。鉄板焼き定食と焼き魚定食で久しぶりの日本食の贅沢を楽しむ。となりのテーブルのインド人が注文した刺身におもわず見とれる。でも、インド旅行中は生ものは厳禁なのだ。

                                                              Hotel “Taj Mahal”


船旅  インド門の港からエレファンタ島観光船に乗る。久しぶりの海だ。最上段の甲板で風に当たるのが心地よい。ムンバイは大きな半島の先にあり、この海はその半島とインド亜大陸に挟まれた湾である。そのためか、海の色が濁っている。しばらく行くと要塞のような小さな島があり、さらに向こうに比較的大きな島が見える。これは、Butcher Island。
船旅も良いものだとしばし旅情に浸る。 出航して一時間ほどでエレファンタ島に着く。緑に覆われ標高200m以上あるかと思われる山がある大きな島だ。島から突きだした突堤の先に船が停泊。ここから突堤の上をおよそ300m遊園地の乗り物のようなミニ・トレインに乗る。降りて土産物屋の並ぶ登山道を20分ほど登って石窟に着く。


エレファンタ島石窟(世界遺産)  石窟で、エローラで見慣れた柱のある入り口から入る。エローラでは沢山の石窟ヒンズー寺院を見学したので、また同じようなものだろう、と考えながら石窟内をひととおり歩いてみて驚いた。確かにエローラに似ているが、ヒンズーの神々の世界が大きな彫像群でみごとに表現されているのだ。


                 シバ神三面像


まず、石窟の一番奥中央のシバ神三面像(上写真中央。Album #1~7)。肩から上の彫像だが、高さは7,8mあるだろうか。正面を向いている顔のやさしく慈愛に満ちた表情に惹かれる。瞑想中の姿であろうか。向かって左にある顔にはひげがあり、上品な面影。向かって右の顔はやさしい表情。左手に桃を持っている。



この彫像の左と右にレリーフのように神々の彫像がある。左の彫像群( 上写真。Album #8~12)の中央に腰をくねらせた神が居る。なぜか、左の乳房だけふくよかで右はない。上に多くの天女が舞っている。右の彫像群( Album #13~14)には男女と思われる二人の神を中心に小人などが居る。中央の三面のシバ神の前に立つと、左右の神々の華やかな表情と併せて、とても豊かな気分になる。ヒンズーの神々の世界をこれだけ身近に感じたのは初めてだ。



石窟の入り口近くの左右の壁のレリーフ様の彫像も面白い。入り口に向かって左には「悪魔アンダカを退治するシバ神」像がある。(上写真、 Album #15~18)。何本かある右手の一つには剣を持ち、口を開け目をかっと見開いているその姿に生命力を感じた。 なお、持参した「地球の歩き方」にはこの像は「踊るシバ神」として写真入りで紹介されているが誤りである。「踊るシバ神」は別の像でやさしい顔である( Album #19~20)。


この石窟内にシバ神の本尊(円筒形の石)が祀られていて、その建造物のまわりに8体の立像( Album #21~26)。それにほかのレリーフ様の彫像( Album #27~28)も見応えがある。また、石窟を支えている太い柱には、それぞれ小さな彫像が見られて面白い。こびとのような人物像( Album #29)、象( Album #30)である。みごとな彫像群のあるカジュラホー寺院にもエローラにもない優れた遺跡である。

この石窟に隣接する石窟にも彫像( Album #31)が見られるが保存状態は劣る。ただ、この石窟の前にある狛犬の彫像は面白い(写真右、 Album #32~35)。日本の狛犬の源流に当たるのだろうかと思う。愛嬌がある。この狛犬をはじめとしてヒンズー寺院遺跡にはユーモアと生命力を感じる。


ムンバイに戻る  石窟観光を堪能し帰路に。この石窟が好きになった私は土産物屋で小さなガイドブックを買う。
久美子は、きらきらした手提げ袋をいくつか買っている。港に降りて、トウモロコシの炭火焼きを求めて二人で食べ歩き。5時出航の船に乗る。途中、かもめの群れが船の上を凧のように舞っていたのが面白い。目の後ろに黒い斑点のあるかもめである。   「次へ」





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