Samuel Ullman (April 13, 1840 – March 21, 1924) |
Original Poem in English | |||
サムエル ウルマン 作
森谷 東平 訳
青春は人生の時期のことじゃない、心の状態だ。
ばら色の頰、赤い唇、しなやかな膝のことじゃない。
意思の問題、空想の質、感情の活力のこと。
命を湧き出す深い泉のみずみずしさのこと。
青春は、安易な道をやめて冒険しようとするときに
弱気を退け勇気を好む気質のこと。
この気質、はたちの肉体よりも還暦の人の中によくあるよ。
歳をとっただけでは老いないよ。理想を失くして老いるんだ。
とし月は皮膚にしわを作るけど、熱意の喪失は魂にしわを作るんだ。
不安、恐れ、自己不信は心を老いこみ意欲を粉々に砕いてしまう。
60だろうが16(歳)だろうが、ひとりひとりは心の中で、
びっくりする成果を釣り上げるぞと仕掛けの工夫、
次は?次は?・・と幼児のように、尽きることない好奇心、
人生のゲームに興じ、思わず叫ぶ快哉、歓喜、
これらを持つのが人類だ。
君の心の真ん中に、私の心の真ん中にもある無線局、
人々から、そして永遠・無限の存在から、
優美、希望、激励、勇気、活力のメッセージ、
それを受信している限り君は若い。
そのアンテナが地に落ちて、
雪や氷が意欲を覆い冷笑と悲観に変えたなら、
はたちの君でも老け込むだろうが、
君のアンテナが空を向き、陽気と楽観の波動を受けているなら、
八十路であの世へ旅立つときも若者のままだろう。
訳者あとがき |
サムエル・ウルマン作、岡田義夫氏訳の「青春」に最初に出会ったのはおよそ40年も前のことである。研究開発時代の上司が、研究員を鼓舞しようと紹介してくれたのである。 現在奉職する高等学校で、最近ある生徒が、「もうすぐ卒業で、自分の青春も終わるのだ」と話すのを聞いた時、その「青春」という言葉に鋭く反応してこの詩のことを思い出した。ウルマンの英語の原詩を読み直し、自分の日本語で表現したいと思ったのは、「青春」がその生徒を含む高校生の問題だけでなく私自身の問題と感じたからだ。 ウルマンの元の詩の内容に出来るだけ忠実に、かつ日本語としてわかりやすく読みやすく、を心がけて訳出した。詩を翻訳するのは初めてであったが、訳の推敲を重ねるうちにウルマンの気持ちが伝わってきて心が揺さぶられた。この詩がさらに多くの人に知られ愛されることを願う。 森谷東平 ニューヨークの郊外にて 2018年12月24日 日本語訳は、岡田義夫、宇野収・作山宗久、の詩があることが紹介されている。新井満氏の新訳もある。この詩を愛した先駆の方々に敬意を表します。 |