熱・分子運動編

1

温度比べ

部屋に中に置いてあるものは、室温と熱平衡になっていることを示す。

各々、温度を測ってみると、水だけは温度が低いことが分かる。熱平衡になるのに時間がかかるで、温度計を差し込んで、しばらく置く。

2
燃えない紙

水に熱容量(比熱)が大きいことを示す

(1)紙で箱を作り、水を入れて火にかける。紙を燃やさずに水を沸かすことができる。
(2)ゴム風船に水を入れて、火にかける。風船は割れない。

ガスバーナー

3 炎を切る 金属は熱を伝えやすい性質を持つことを示す
(1)金網を炎の中に入れると、炎が途中で切れて、断面が見える。
(2)茶こしに紙をちぎって入れ、炎の上にかざしても紙は燃えない。
4 熱放射 黒く見える物ほど、熱をよく吸収し、また放出するときはよく放出することを示す。

(1)図のように空き缶の半分にすすを黒く塗り、手を近づけると、すすで塗った方が暖かく感じる。
(2)白地に黒い模様のあるお茶碗でなるべく薄い物を探し、和って破片を作る。破片をガスバーナーで暖める。黒い部分が一番明るく光る。

留意点等:

(2)時間がかかる。場合によっては、ガラス細工用でふいご付きガスバーナーでやるとよい。VTRに撮って、(1)の後、見せるのも良い。

5 液体窒素 超低温で起こる現象を観察する
(1)机にこぼすと、玉になって転がる。
(2)バナナでくぎを打つ。葉が粉々になる。ゴムボールを落とすと、破裂する。
(3)気化すると、体積が急激に膨張する。
(4)コイルを液体窒素につける。抵抗が小さくなって、豆電球が明るくなる。
(5)液体酸素は、常磁性体である。
6 液体窒素2 液体窒素を用いて、液体酸素を作ってみる
(1)ボンベより風船に酸素(O2)をつめ、その風船を試験管にかぶせ、試験管を液体窒素に入れると、底に液体酸素ができる。
(2)試験管の中に線香を入れると、よく燃える。
(3)アルミ缶の中に液体窒素を入れると、缶の下からポタポタ液体酸素が落ちる。下の紙がよく燃える。
7 ラジオメーター ラジオメーターを観察し、分子運動の存在を考える。
8 ランダム台車 力学的な運動が減衰するのは、無秩序な熱運動に転化するためであることを示す。
(1)何も乗せない台車は衝突すると跳ね返る。
(2)バネ付きおもりをのせた台車は、衝突すると止まってしまう。
9 ブラウン運動 チンダル現象を利用して、煙粒子のブラウン運動を観察する
(1)図のような箱を作る。箱の下に小さな穴2つをあけ、たばこの煙を吹き込んでからセロテープで止める。これを顕微鏡のステージに乗せ、真横からレーザー光を当てる。倍率60~150倍程度で観察すると、赤く光った煙粒子がランダムに運動しているのが見える。
留意点等:箱が大きいと、中で対流が起こってしまうので、大きさは図程度(透明箱部分1cmx1cm)が良い。
レーザー光が他の人の目に直接はいらないように注意する。使用器具:顕微鏡
生物に顕微鏡カメラがあれば借りると良い。モニターで一度見られる。ただし、あまり立体感が無く、きれいでない。
10 牛乳のブラウン運動 ブラウン運動を観察し、分子の存在を確認する

高倍率なので、慣れない生徒には、ピントを合わせるのは難しい。顕微鏡用のCCDがあれば、、TVに映写して見せたい。

使用器具:顕微鏡 プレパラート一式

11 お茶のブラウン運動 分子運動を観測する
(1)きゅうすのお茶をビーカーに入れる。
(2)ビーカーの中のお茶に、横からレーザー光を当てて、白い壁に映す。
12 平和鳥 平和鳥を使って、気化に関する熱現象を調べる
(1)ドライヤーを使って、頭、お尻を暖める。頭をアルコールでぬらす。(気化熱、蒸気圧と温度)
(2)風を送ると、動きが速くなる。水槽に閉じこめると、動きが止まる。(飽和水蒸気圧)

留意点等:平和鳥内の液体は、フロンを使用している。クーラーや冷蔵庫の話にも発展できる。

13 融けた鉛

水の気化熱はきわめて大きいことを示す

予め、指を水またはアルコールで燃やしておき、溶けた鉛につっこむが、やけどはしない。

14 水温を上げる 仕事と熱が同等であることを示す
(1)水筒に水を入れ、温度を計る。
(2)水筒をよく振る。
(3)水温を測る。
15 圧気発火 断熱圧縮で内部エネルギーが増加することを理解する

(1)圧気発火器に少量の綿か、ティッシュペーパーを入れ、一気にピストンを押し込む。

留意点等:綿、ティッシュペーパーの量は、ほんの少しでよい。

16 断熱膨張による霧の発生 断熱膨張によって、温度が下がることを、霧の発生によって確かめる
大きな音とともに、ボトルが飛び、内部は霧で満たされる。
水ロケットの流用。水を用いないので、推進力は小さく、教室内で演示できます。圧気発火器とセットで演示すると良い留意点等:ボトルを飛ばす場合は、生徒をボトルの後ろ側から観察させる。
使用器具:ノズルは「中村理科」の「水ロケット」を使用(1セット2700円)
17 ドライアイスの液化 物質の状態変化が、温度だけでなく、圧力にも依存することを示す
(1)ドライアイスを小片に砕き、圧気発火器のシリンダーに入れ、ピストンをゆっくりと押し、変化を見る。白い固体が透明な液体になる。圧力が大きくなるので注意。
(2)ピストンを急に引き抜くと、透明な液体が、粉末状の白い固体に戻る。
留意点等:ドライアイスは、大きな固まりであれば、新聞紙にくるんで、冷蔵庫に入れておくと、一昼夜は保つ。
  状態図(圧力-温度)で簡単に説明すると良い。
  低圧沸騰の実験を一緒に行うと良い。
使用器具:圧気発火器ドライアイスの小片
18 ヘロンの蒸気機関

内部エネルギーを仕事に変換する
留意点等:余分なすきまをすべてふさぐ。回転軸の摩擦に応じて、間に入れるパチンコ玉の個数を調節する。
使用器具:スタンド  ガスバーナー

製作材料:磁石 パチンコ玉  空き缶 ボールペン(廃物)

19 アルコールエンジン 内部エネルギーを仕事に変換する方法を学ぶ
アルコールは少なくて良い。冬は気化するための時間を少しおいた方がよい。
使用器具:チャッカマン アルコール
製作材料:インクボトル  プラスチックコップ
20 釘乗り

圧力ー釘の本数が多くなると、分散することを学ぶ図のように、釘の上に笑顔で立つ。
留意点等:製作に2~3時間かかる
製作材料:ベニヤ板(250x250x5)釘 25mmぐらい。1000本。(製作費用 約500円)

21 息で人を持ち上げる 圧力×面積が力になることを理解する

図のように作ったビニル袋の上に板を乗せ、その上に人が乗る。板が十分に大きければ、人を持ち上げることができる。板が小さいと持ち上げられない。
留意点等:板が薄いと曲がってしまって、うまくいかない。10mm以上の厚さのある、硬い板を使う。
製作材料:透明ビニール袋45リットル 1枚 ガラス管50mm
ゴム管1000mm 木の板10mm厚、大・小各1

22 ゆで卵の出し入れ

ゆで卵を割らずに、びんから出し入れする方法に関連して、圧力を考えてもらう。
(1)びんの中へたマッチや紙を入れ、たまごをのせる。
(2)びんの中へドライアイスを入れ、びんを逆さにする。または、びんをさかさにして手で暖める。

23 水圧の方向 圧力は、面に垂直に働くことを示す
(1)ずのようにしてピストンを押し込むと、スチロール小片があらゆる面から圧縮されることが分かる。
(2)コップに水をくみ、水圧はどちら向きに動くか、発問してから、図のような実験を見せる。紙は、上向きの水圧に支えられて、下に落ちない。
留意点等:(2)の実験は、発問をしてから、見せないと、意外性がなく、効果が薄い。
使用器具:ビーカー シリンジ 発泡スチロール アクリルパイプ 板目紙
24 水圧ジャッキ パスカルの原理の量的な部分を実感する
A,B両方のピストンを、両手で同時に押してみる。押し返される力が、まるで違うことが分かる。

使用器具:シリンジ、大・小各1  ビニル管少々

25 圧力と弾性膜 弾性膜の曲率と、圧力差の関係を調べる
(1)圧力差がないときは、曲率が0の平面、曲面になることを示す。
(2)小さい風船の方が、曲率が大きいので、圧力が大きいことを示す。
留意点等:(2)の小さい風船は、ほとんど膨らんでいない方がうまくいく。
製作材料:シャボン液 針金 ゴム風船 ガラス管 ゴム管 ピンチコック
26 水圧の大きさ 水深と、水圧の大きさの関係を原理的に理解する
(1)Bまで水を入れると、紙が下に落ちることから、ある深さの水圧は、その上の水の重さと釣り合っていることを示す。
(2)ペットボトルに穴を開けておき、水を入れる。水の噴き出し方から、深いところほど、水圧が大きいことを知る。
使用器具:ビーカー アクリルパイプ 板目紙 ペットボトル
27 パラフィン浮上せず 浮力が圧力の合成であることを理解する
(1)パラフィンを水底に押しつけると、浮いてこない。
(2)シャーレに分銅を置き、水銀をそそぎ込むと、分銅は浮いてこない。あらかじめ、分銅が水銀に浮かぶことを見せておく。
留意点等:(1)の水槽は、アクリル容器などが良い。
製作材料:水槽 パラフィン(製作費用 約1000円)
28 アクリルビーズの浮力 浮力は圧力の合成であることを示す
ビーカーにアクリルビーズをいっぱいに入れ、発泡スチロール球をうめて、移動させてやると浮いてくる。鉄球を載せて、同様にすると、沈んでいく。
留意点等:振動を与えるのは、手でも良いし、マッサージ器を使っても良い。
使用器具:ビーカー マッサージ器 アクリルビーズ 発泡スチロール球 鉄球
29 大気圧 大気圧の大きさを実感する
図のようにセットし、排気する。
留意点等:ラップは、質の悪いものの方が、あざやかに割れる。
使用器具:大気圧実験セット ラップ 輪ゴム ゴム風船
30 大気圧の働き 大気圧は非常に大きいことを実感する
(1)ひっくり返しても、はがきは落ちてこない。
(2)木の板が折れる。
(3)排気すると、吸盤は落ちる。
留意点等:(2)は新聞紙をできるだけ密着させる。木の材質によっては折れないこともあるので、試しておく必要がある。木刀でたたくのは、できるだけ机に近いところ。
使用器具:排気盤 真空ポンプ グラス はがき
31 簡易マグデブルグ半球

大気圧の大きさを実感する
図のようにセットする。生徒に渡して、はずさせてみる。パッキングの紙が乾くまで、はずれない。
使用器具:ステンレスボウル 2個 板目紙 メタノール 少々 水槽 ステンレスボウル

32 トリチェリの実験 大気圧の大きさを測定する
(1)図のようなガラス管に、水銀を入れる。スタンドで固定し、片方をロータリーポンプで排気して、液面の高さの差を測定し、大気圧を計算する。
(2)の実験をしたあと、1気圧に相当する水柱の高さを測定。
留意点等:ガラス管の中は完全に乾かしておく。水銀を入れると、途中でとぎれてしまう。軽く持ち上げて、とんとんたたくと、水銀は下に落ちる。
使用器具:ガラス管 水銀 ロータリーポンプ ものさし ストロー コップ ジュース
33 缶つぶし    
34 減圧沸騰 蒸気圧と大気圧が釣り合うことが、「沸騰」であることを理解する
(1)大気圧実験器に温湯を入れ、排気する。
(2)図の通り。
留意点等:(2)の小びんは、ふたが金属製の物を用いる。ジャムのびんが、熱に強くて良い。
使用器具:大気圧実験セット ガラスびん
35 裏返し風船 沸騰しているときは、蒸気圧を大気圧が釣り合っていることを理解する
(1)丸底フラスコで、少量の水を沸騰させ、火を止めてから、ゴム風船を口につける。空冷もしくは水冷する。
留意点等:風船をつけるところが、慣れないと難しい。練習が必要。
使用器具:丸底フラスコ ガスバーナー ゴム風船
36 ブーメランを飛ばそう ブーメランを自作し、揚力で進路が曲がることを理解する
大きさ、折り曲げ方を変えたり、ガムテープを貼って重くし、飛び方を比較する。
使用器具:ハサミ ホチキス 板目紙
37 流体の速さと圧力 流速によって圧力差が生じることを示す (
(1)風鈴の間を吹くと、風鈴同士がくっつく。
(2)ドライヤーの風で、一定の場所に風鈴を保持できる。
(3)紙テープが水平近くまで持ち上がる。
(4)霧吹きになる。
(5)スチロール球は落ちない。
(6)炎は内側に向かって傾く。
(7)紙の円盤は落ちない。
留意点等:飛行機や変化球の話も付け加える。
(2)の実験は、ブロアとビーチボールで行うと、迫力が増す。使用器具:ロート ビーカー ドライヤー 風船 紙テープ ストロー 発泡スチロール球(ピンポン玉) ろうそく 紙 画鋲 糸巻き