力学編

  速さの測定で基礎実験

目 的:速さの測定を通して、物理の実験の基礎をマスターする。
準 備:配線カバー、木片(1cm厚)、両面テープ、鋼球、ストップウオッチ
方 法:配線カバーにマジックでつけた印(B点)と、カバーの端(C点)との間の距離を物差しで測定する。
配線カバー、木片、両面テープを用いて、図のように装置を組む。
点Aに鋼球を置き、静かに手をはなす。
鋼球が点Bを通過してからCを通過するまでの時間をストップウオッチで測定する。
同じことを3回繰り返して平均をとる。
鋼球がBC間を通過する速さを計算する。
木片の段数を2~5段に増やして実験を行う。
考 察:速さvと落差hは比例するか? 縦軸にh、横軸にvをとって結果をグラフ化せよ。
縦軸にh、横軸にvの2乗をとって結果をグラフ化せよ。

 

  ビデオカメラで相対速度

目 的:動きながら物を見るとどのように見えるか。相対速度を頭の中だけで考えると混乱するので、ビデオカメラを通して実際に見てしまおうという実験です。
準 備:キャスター付き台、超小型ビデオカメラ、トランスミッター、室内アンテナ、テレビ、地球儀
方 法:キャスター付き台の上に超小型ビデオカメラとトランスミッターを乗せ、生徒Aに押して等速で歩かせる。私Bが地球儀を持って少し離れた所に立ち、矢印のように歩く。
静止した観測者(一般の生徒)には、各々の速度は図の矢印ように観測される。
「Aから見るとBはどう動いているように見えるだろうか? 理屈の上では近づいてくるように見えるはずだが、実際はどうか? ビデオカメラの視点で見てみよう」
 そういって、再び歩く。こんどは、ビデオカメラを地球儀に向け、撮影した様子を、トランスミッターと室内アンテナを介してモニターに映し出す。
「理屈通り近づいてくるように見えるだろうか?」
結 果「うわ、ほんまや!」生徒は歓声をあげます。やったね(^_^)。私しゃ、この声を聞くために生きているようなモンですわ

1
静止の慣性
y1 1)ハガキを指ではじく。(2)だるま落とし。(3)紙の端を持ち、もう片方の指で、紙を下にたたいて抜く。(4)机をたたいて振動させながら、少しずつティッシュを抜く。(5)ゆっくり引くと上の糸、急に引くと下の糸が切れる。(6)生卵はほとんどまわらない。
2
静止の慣性2
y2 垂直方向でも、物体は静止を続けようとする性質があることを示す。質量を小さいものに替えると、下のテープが切りにくくなる。
3
力学滑走体
y3 運動の慣性を理解する。(1)アクリル板の中央に穴をあけておき、フィルムケースを貼り付けた後、下から画鋲でケースの底に穴をあける。ゴム風船をふたに固定してから膨らまし、ケースにふたをする。机の上で滑らせてみる。(2)プラグをコンセントに差し込み、床の上を滑らせる。始動時と停止時にモーターの反作用が見られる。
4
電車でジャンプ
ガリレイの「天文対話」に出てくるマストの上から物体を落とす思考実験を、簡単なおもちゃを使って試す。(1)ジャンピングトーイを力学台車上で押しつけ(2)台車を動かす。(3)少しするとトーイが飛び上がり(4)台車の上(近く)に落ちる。ケロッピのジャンピングトーイ(ステーキのどん)
(約380円)
5
慣性質量
質量によって、慣性の大きさに違いがあることを理解する。(1)ペットボトルに、水、発泡スチロール、ビー玉を入れ、横にする。(2)発泡スチロール、ビー玉が真ん中に来るようにした後、右または左に一気に動かす。(3)発泡スチロールとビー玉が逆向きに動くのを観察する。
6
慣性力
非慣性系上での物体の見かけ上の運動を観察し、慣性力について考えさせる。(1)台車の上に人形を乗せ、いろいろな加速度運動をさせてみる。(2)画用紙とようじでコマを作り、水彩絵の具を水に溶いて、1滴つける。コマを回転させた後、絵の具の軌跡を見て、遠心力とコリオリの力を導入する。コマを回すと絵の具は回りに吹き飛ぶ。このとき、下に新聞紙などを敷いておくと、絵の具は直線運動をしていたことが分かる。
7
フーコーの振り子
慣性力の応用で、フーコーが初めて地球の自転を検証したことを理解する。回転台に振り子を固定して振動させ、台を回転させる。台の上に人形を置いておくと、振動面が変化して見えるのが、分かりやすい。
8
構造と力
物体には、強い構造と弱い構造があることを理解し、力の合成・分解で説明できるようにする。(1)机の上に電球付きの板をのせ、その上に立つ。(2)拍手がおこったら笑顔で手を挙げ、応える。机の上は、きれいにふき、ごみが落ちていないようにする。電球に傷が付くと割れやすくなる。・ギリシャ建築の屋根は落ちてしまったのに、ローマの道路は残ってるのはなぜか。・卵は外からの圧縮は強く、中からは破りやすい。・狭い入り口に多勢で押しかけるとどうなるか、など。
9
浮力のはたらき方
アルキメデスの原理を定量的に理解する。1.(1)Aの体積の増加と、Bの重さの増加を比べる。(2)Cの重さの減少、Dの体積の増加、Eの重さの増加を調べる。2.木片を浮かべて台ばかりの読みは変わらない。3.プラスチック粘土を変形して、体積を大きくすると水に浮く。2.に用いるビーカーは、台ばかりの皿よりも大きいものを使わないとこぼれた水が皿に残ってしまう。
10
浮沈子
浮沈子を作製して、アルキメデスの原理を実感する。ボトルを押すと、ストローの中の空気が縮むため、浮力が小さくなる。浮沈子の動きと同時にストローの中の空気の様子を観察させる。
11
逃げるストロー

界面活性剤が水の表面張力を弱めることを観察する。水にストローを浮かべ、水面の一点に洗剤をつけると、ストローは逆方向に滑っていく。もう一度、繰り返すためには水を取り替えねばならない。

12
スライム
スライムを作って遊びながら、弾性を感じたり、浮力を観察する。生徒が持ち帰りたがるので、ビニール袋を用意しておく。
13
鉛をくっつける
新鮮な鉛の切断面同士を押しつけると、鉛がくっつくことを示し、分子間(原子間)の力があることを知って、弾性が生じる理由を理解する。(1)鉛のおもりを2つ用意し、一部をカッターナイフで削り取る。(2)ねじりながら、切断面を押しつけるとくっつく。(3)おもりをぶら下げても落ちない。くっつく瞬間は、手応えで分かるが、何度か練習すべき。
14
何でも弾性
弾性があるのは、ばねのような特別の物だけでないことを示す.(1)おもりをのせる毎に、レーザー光の到達点にチョークで印を付けていく。フックの法則に従っているのが分かる。(2)紙製のスリンキーを作って遊ぶ。(2)は貼り合わせを丁寧にしないとうまく動かない。
15
大きい風船、小さい風船
圧力差と弾性膜の変形について考える.(1)図のようにしてからピンチコックを開く。必ず質問してから。小さい風船はほんの少し膨らみかけるぐらいの方が良い。
16
表面張力と弾性膜
表面張力のはたらきを観察する。(1)1円玉を水に浮かべる。(2)表面張力で糸が引っ張られる。(3)表面張力でアルミ箔が引っ張られる。(4)針金ワクを作り、シャボン液につけ、引き上げると、膜はもっとも表面積が小さくなるように張る。(4)の針金ワクは、ある程度雑に作っても、うまく行く。
17
水表面の場モデル
重力、電磁気力など、一見遠隔作用のように見えるが、実は場を仲立ちとしていることを知る。(1)図アのように針金を用いて、1円玉を水面に浮かべる。水面の形を見ておく(イ)(2)その近くに、もう一つ1円玉を浮かべると、互いにくっついていく。(ウ)1円玉同士が直接引き合うのではなく、水面の変化が仲立ちになっていることに気づかせる。1円玉をもっと増やすと、美しい。金属の結晶構造などにも使える。
18
張力の大きさ
輪ゴムを使って、張力の大きさがどこでも等しいことを確かめる。(1)上図のように、輪ゴムをつなぎ、1本目と2本目の結びを0にあわせ、物差しにたるまない程度に押しあてる。1本分が同じ長さになっていることを確認する。(~7cm)
(2)輪ゴムの両端に力を入れて引き、上と同様に1本目と2本目の結びを0にあわせ、次の結びを10cmにする。他の結びもほぼ10cm間隔になる。 (1)輪ゴムは製品にかなりむらがある。予備実験をして、引いたときに同じ長さになるものを選んでおく。(2)ゴムひもに等間隔に目印を付けて行ってよい。
19
物体の重心
埼玉県の「へそ」はどこか?
(1)白地図を厚紙に貼り、埼玉県の形に切り抜いておく。
(2)端の方2カ所に穴をあけひもをつけておく。そのひもには長い糸をつけておく。
(3)黒板につるし、一方の糸におもりをつけて下げ、糸をセロテープで固定する。
(4)もう一方の糸についても、(3)と同様に行い重心を求める。
(5)重心の位置を細い棒で支える。
20
重心と支点
重心と支点の位置の関係を観察し、安定なつりあいについて考える。
(1)図のように箱を置いて、なぜ落ちないか考えさせる。
(2)指の上に鉛筆を立てる方法を考えさせ、図のように解答。
(3)安定なつりあいと、不安定なつりあいについて説明。
(4)(5)(6)重心と支点の位置関係を把握する。
(6)は重心が低い生徒(おしりが重い子)は立つことができる。(6)のイスは木製の重いものが良い。パイプイスだったらいくつか重ねて使う。
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重心、支点、作用点
物体の動きの中で、重心が果たす役割を理解させる.
(1)はじめ、ブラックボックスにして演示。なぜ坂を登るか、意見を求めた後、中を見せて、重心は落下していることを示す。
(2)生徒に作らせて、しばらく遊ばせた後、空気抵抗の作用点と重心の関係を示す。
(3)図のように二重風船を作り、放り投げる。風船はよたよたと不規則な動きをするように見える。しかし、VTRに撮影してコマ送りで見せると、風船はきれいな放物線を描いていることが分かる。(2)の紙は上質紙でよいが、あまり大きくしない方がよい。ハガキ大ぐらいがよい。
(3)の風船は、はじめに重ねておいてから、内側の風船だけ水を入れてしばり、それから、外側の風船を膨らませて作る。
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重心の運動
複雑そうな物体の運動も、重心の運動は単純であることを示す。)図の装置をホワイトボード上で、回転させながら押し出す。重心のペンの軌跡は単純である。ペンが同程度下につくよう、ねじこみ方で調節する。できるだけ、激しく回転するようにするとはっきりする。ただし、かなり摩擦の影響が出る。
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坂を登るロート
高いところへ登っているように見えても、実際は重心は下がっている。図のように2本の棒で坂を作り、高い方を少し広げておく。はり合わせておいたロートを途中に置くと、登っていくように見える。
24
力のモーメント
支点から離れたところに力を加えると物体が回転することを示す。物体を回転させる能力が「力の大きさ×腕の長さ」で表されることを示す。黒板に貼って行う。
(1)丸棒をぶら下げる。L1:L2=2:4
(2)Bにおもりを1個つけ手を離す。右回りに回転していく。おもりを取り去る。
(3)Aにおもりを2個つけ手を離す。左回りに回転していく。
(4)Aにおもりを2個、Bにおもりを1個つけ手を離す。つりあう。
(5)(4)のおもりをつけたまま、Aの位置を3目盛りのところにして手を離す。左回りに回転する。
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水ロケット
作用・反作用、断熱膨張. ずのようにせっとして、一気に空気を送り込む。飛び上がる瞬間に、ボトル内部が白く曇ることを観察する。水の量を変えて、飛び方を比較する。
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粉じんロケット
作用・反作用. 粉塵は火がついて爆発的に燃え、反作用でビニール袋が上昇するのを観察する。
(1)ろうとの中へ、でんぷん粉または砂糖を入れる。
(2)火をつけたろうそくを置き、ビニール袋をかぶせる。針金でビニール袋をささえる骨を作り、袋をかぶせる。
(3)口で吹き、粉を吹き上げる。
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作用・反作用の法則

意外性のある実験を通して、力は物と物の間の相互作用であることを意識させる。
(1)縮めたジャンピングトーイとボールを接触させて下げ、トーイが左へ振れるのと同時に、ボールは右へ振れるのを観察する。ボールが無いと、トーイは動かないことも示す。
(2)浮力の反作用を示す。指をつっこむだけでも良い。
(3)磁力の反作用を示す。
(4)プロペラが空気から反作用を受けることを示す。
かごの中の鳥の話などもからめ発問し、討議させながら進める。

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バネの伸び具合
バネの伸び具合から、作用・反作用の法則や力のつりあいの関係を理解する. (1)(2)とも予想をさせてから実験を行うと良い。
(1)(ア)と(イ)のバネが同じ長さ(伸び)になることを示す。
(2)(イ)(ウ)の伸びb、cは(ア)の伸びaに比べてどうなるか。
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作用・反作用
「力は相互作用で、どんな場合も大きさが等しく向きが逆である」という作用・反作用の法則が成り立つことを、押し引きバネばかりを使って確かめる.
(1)2人でバネばかりを押し合って目盛りを読む。2人でバネばかりを引き合って目盛りを読む。
(2)衝突するとバネばかりが押し縮められ、最も縮んだ位置でボール紙が止まるので、後で押し合った力の大きさが読める。
台車Bを持って、台車Aを引っ張る。バネが最も伸びた位置でボール紙が止まる。台車が引き合う力の大きさが分かる。
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作用・反作用、力のつりあい
遠隔力や浮力にも作用・反作用があることを理解する。(1)遠隔力(磁石の反発)。
磁石A,B、紙筒の重さを別々に測っておく。上図のように磁石A,Bを反発させるようにのせたら重さはいくらになるか?予想させてからやると良い。
(2) ア)おもりの重さを測る。
  イ)おもりを全部水につけ、浮力の大きさを測る。
  ウ)はかりで水槽+水の重さを測る。おもりを水中につるした状態で秤の目盛りはどうなるか?
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割れないコップ
力積が同じ場合、質量が大きいものほど、速度が変化しにくいことを示す。図のように配置して、ハンマーで金床をたたく。コップは割れない。金床でなくても、ハンマーに比べてはるかに重い物であれば、何でも良い。
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質量、力、加速度の関係
(1)質量による速度変化の違い(慣性質量)
(2)力の大小と速度変化(加速度)
(3)質量と力と加速度の関係
実験は2人で行い、一人が棒を押さえ、もう一人が台車を同時に離す。
(1)空の台車と、台車+同質量のおもり(または台車を重ねる)をゴム1本で引いて比較する。
(2)空の台車2台をそれぞれ、ゴム1本と2本で引いて比較する。
(3)(1)で空の台車をゴム1本、台車2台分をゴム2本で引いて比較する。(1)と(2)の効果が打ち消し合って、棒に同時に到着する。
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連結台車の張力の大きさ

力は直接接触しているものから受ける。物体の運動状態は、物体に外から働く力(外力)によって決まる。
(1)AとBは質量が等しい台車。糸を引く力が10のとき、糸2の張力がいくらになるか予測させる。
 1)10以上、2)10以下、3)10
   (答えは、3)が圧倒的に多い)
(2)図のようにセットする。台車Aには押し引きバネばかりの重さ分のおもりを載せて、質量を等しくしておく。押し引きバネばかりを手でもって引き、適当なときに両方の台車を手で押して止め、はかり1とはかり2の値を比べる。(はかり1の値ははかり2のほぼ2倍)
解説:いっしょに10動くとき、A,Bの台車ともに5の力で引かれる。Bは右に5,Aは左に5,右に10引かれる。
1)バネばかりを引くときは、ゆっくりと小さな力(60~80g重)で引く。
2)バネばかりが3台あれば、A,Bに1台ずつ互いに引き合うようにつけ、3台目でAを引くようにする。

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摩 擦
摩擦力の大きさが物体の重さ(物体に働く重力の大きさ)にではなく、面と面が押し合う力が代表させて垂直抗力の大きさに関係していることを理解させる。
(1)垂直抗力の値を変えて、最大静止摩擦力の大きさを比較する。(動き出す直前の目盛り)
(2)斜面を作り、1枚の板磁石Aが滑る角度にする。同じ角度で、もう1枚の板磁石Bで、磁石の反発力を利用して板磁石Aを斜面に押しつける。Bを取り去るとAは斜面を滑り落ちる。
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摩擦の役割
抗力と摩擦の関係、摩擦の法則について、理解する
(1)洗剤をホワイトボードにたらし摩擦を小さくすると、磁石はすべり落ちる。
(2)ベニヤ板でも磁石は押しつけられればくっつく。
(3)自由落下中は抗力が無くなるので、摩擦も無くなる。磁力が意外と遠くまで及ぶことも注目させ、摩擦力が無いと物体は安定して静止できないことも気づかせる。
(4)両手を近づけていくと、必ず重心で手が一致する。摩擦の法則を導入する。
(1)のホワイトボードが無い場合、塩ビ板等を黒板に貼り付けて用いる。
(4)は物差しでなくとも、何でもよい。途中では片手だけ先行したりするが、最後は必ず重心で一致するので、驚きが大きい。
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摩擦と分子間力
分子間力によって摩擦が生じることを示す.
(1)ざらざらした面となめらかな面では、どちらが摩擦が大きいか考えさせる。
(2)ぬらしたスライドグラスを図のように下げ、密着した面同士がくっついてしまうことを示す。
(3)密着した部分の分子間力によって摩擦が説明できることを示す。
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摩擦角
斜面上の物体が滑り出す角度の正接(tanθ)が、摩擦係数に等しいことを示し、様々な応用を考える。
(1)板を次第に傾け、物体が滑り出すときの角度を測り、そのtanを求める。(摩擦係数と比較)
乾いたアスファルト、ぬれたアスファルトとタイヤの間の摩擦係数から、車がどのくらいの坂道を登れるか作図する。
(2)砂山を作って角度を求める。砂同士の摩擦係数から求めた摩擦角と比較する。
あらかじめ、水平面上で摩擦係数を測定しておく。
(2)は富士山の写真を用意して比べると、ほぼ一致する。
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ビー玉の玉突き
慣性には質量が関係することを学び、運動量を導入する。
(1)弾になるビー玉の数と、飛び出すビー玉の数が等しくなることを観察。
(2)連振り子を10円玉で作り遊んでみる。
(3)市販の連成振り子も演示。
玉の個数が的の個数より多い場合が意外性があるようで、効果がある。
連振り子は高価だが、結果はあざやかでよい。
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運動量保存
台車2台を使って、分離や合体の際、運動量が保存されることを示す。 (1)(2)とも台車A,Bの質量の組み合わせをいろいろと変えて実験する。
(1)バネ棒を押し縮めた台車を向かい合わせて、両者を適当な長さのひもで結んでおく。バネのロックをはずし、ひもがピンと張ったとき、離れた地点の真上でひもを手で押さえ、xとyを比較する。(x:yは速さの比に相当する)
(2)吸盤をつけた台車を2台用意し、それをゴムひもで結んで伸ばしてから、同時に離す。台車は合体後どちらに動くか。
(1)ひもの長さはあらかじめ予備実験をして結果がうまくできる長さにしておく。
(2)台車を同時に離すために、一人で実験を行う。ゴムがゆるんだところで、ゴムを指で軽くつまみ上げると台車同士が合体しやすい。
40
カバーグラス割り
運動量の変化が同じとき、変化にかかる時間が長いほど、力が小さくて済むことを観察し、力積を導入する。
(1)紙の上にカバーグラスを置き、その上に、ビー玉を落として、どのぐらいの高さで、グラスが割れるかを調べる。
(2)ぞうきんの上で、同様にして調べる。
カバーグラスは、あまり飛び散ることはないが、一応、机の上には、新聞紙等を広げておく。
41
弾性衝突、非弾性衝突と力積
弾性、非弾性衝突の運動量の変化の違いを、力積を使って調べる.
(1)台ばかりの上に板を置き、その上に、スーパーボールを落とし、針がどこまで振れるか見る。
(2)同じぐらいの高さから、ハネナイトボールを落とし、同様に観察する。
両方のボールの質量が、同じであることを示しておく。
木の板はできるだけ重い物を使う方が、針の動きが安定して見やすい。
42
はね返り係数棒
はね返り係数棒により、はね返り係数の直読をし、各種ボールのはね返り係数を比較する。各種ボール(硬・軟テニス球、硬・軟野球、ピンポン玉、ゴルフボール、スーパーボール、ハネナイトボール、etc)(東急ハンズ等でセットで売っている)
(1)1mの高さからボールを落とし、跳ね上がった最高点で目盛りを読む。
(2)やはりスーパーボールが最高。ハネナイトボール(非弾性球)がおもしろい。スーパーボールとハネナイトボールを半分ずつ貼り合わせた球が面白い。落とす高さhによって、eの値が変わる可能性があることを指摘しておく。
43
スーパージャンプボール

運動量保存。超新星など、一度縮んだものが元の大きさ以上に飛び散る原理を考える。
(1)まず1個のスーパーボールを落とし、元の高さ以上に跳ね返らないことを確認。
(2)2個以上落とすと下のボールは地面に押しつけられ、上のボールは元の高さよりもはるかに高く跳ね上がる。スーパーボールは3個以上重ねても良い。まっすぐに落とすこと。


44
自由落下
  重い物体ほど速く落ちるように見えるが、これは空気の抵抗の影響であることを確かめる。
(1)ティッシュペーパーと10円玉を同時に落下させる。
(2)ティッシュペーパーを丸めて、10円玉と同時に落下させる。さらに、10円玉をティッシュペーパーでくるんでも良い(最も重い)
45
鉛直落下と水平投射
真下に落ちても、水平に投射しても、落下に要する時間は変わらないことを示し、鉛直方向と水平方向の運動が独立していることを理解する。
(1)カードが水平になるように割り箸の端をしっかり握り、先端をしならせてから放す。各々、鉛直落下、水平投射で10円玉が飛び出すが、同時に落下することを音で確かめる。
(2)ハネナイトボールが弾まないことを示した後、横に投げる。水平方向の運動は保持されることが分かる。
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モンキーハンティング
自由落下中は、初速度が異なっても、速度の変化は同じであることを理解する.
(1)図のようにセットし、パイプをのぞきながら、缶に照準を定める。
(2)パイプにたまをこめ、勢いよく吹く。
ソレノイドのヒステリシスが効いてくることがあるので、くぎは頭ではなく、先端をつけるようにし、電圧はできるだけ低く抑える。
缶はアルミの方が大きく凹むので迫力が増す。
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無重量状態
自由落下によって無重量状態が生まれることを学ぶ.
(1)落下中、ばねは自然長になる。
(2)落下中、水はこぼれない。
VTR「宇宙の授業」などを見せる導入に使う。
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運動の第2法則の変身

運動方程式、仕事-エネルギーの原理、運動量変化と力積。物体の運動を考えるのには、様々な視点があることを、台車を使った実験の解析を通して学ぶ。
(1)台車(質量m1)を分銅(質量m2)で引き、その運動をタイマーで記録テープにとる。5打点ごとに区切り、表(t、x、△x、v)を作る。
(2)v-tグラフを描き、傾きから加速度aを求める。
(3)運動方程式 (m1+m2)a=F-fより動摩擦力の大きさfを求める。
(4)エネルギーの原理
 (F-f)X=1/2・(m1+m2)(v2・v2-v1・v1)
    が成り立つことを確かめる。
(5)力積の法則
     (F-f)△t=mv2-mv1
 が成り立つことを確かめる。

v1、v2はv-tグラフで適当なところを設定する。(△t、xが決まる)
  xは、△t間の移動距離

49
単振り子
単振り子の周期についてTがLの平方根(ルート)に比例することを確かめる。振り子の等時性を確かめる。
(1)振り子の長さ1mの周期をT=2π・(L/g)1/2乗 より計算。T=2.0秒
(2)振り子の長さ1mで10周期分の時間を測定し、(1)を確かめる。
(3)振り子の長さ0.50m、0.25mでは周期はそれぞれどうなるか予測し、10周期分の時間を測定して確かめる。
(4)振り子の長さ1mで、振幅を(1)の2倍程度にして、10周期分の時間を測定し、(2)と変わらないことを確かめる。振幅はあまり大きくしない。
周期の測定は、振動の中心(指標を置く)を通過する時を基準とする方がよい。
質量の異なる金属球で周期を測定する実験を加えると良い。
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ばね振り子
単振動をするバネ振り子の周期について、周期Tがm/Kの平方根(ルート)に比例することを確かめる
(1)強いバネ、弱いバネそれぞれについて、フックの法則が成り立つことを示す。また、強弱それぞれのバネの伸び具合から、バネ定数を比較する。
(2)弱いバネについて、分銅1個と2個の場合について、10周期分の時間を測定。ア)
を行った後、イ)については、ア)の何倍になるか予想させてからやるとよい。
(3)強いバネで分銅1個の場合について、10周期分の時間を測定し、(2)のア)と比較する。予想をしてからやると良い。
振幅は小さく。周期の測定は、つりあいの位置を通過するところを基準とする方が良い。
振幅を変えて周期を測定する実験を加えても良い。

使用器具:黒板貼り付けフック(ゴム板磁石で作る)弱いバネと強いバネ 分銅(30g程度) 2個ストップウォッチ
ゴム磁石製紙抑え(指標に使う)

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単振動と等速円運動
等速円運動の射影が単振動であることを示す。
(1)図の装置をまず横から見せ、等速円運動であることを示す。
(2)図のように、真横から照らし、影を観察すると、球が単振動しているように見える。製作材料:ベニヤ板 DCモーター(マブチ140)ギヤ 乾電池、ボックス スチロール球
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連成振り子
固有振動数と共振の関係を振り子の場合で確かめる. 教室の端から端まで使う。格納時はおもりをびんに入れ、ひもをびんに巻き付けておく。
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長さの違う振り子
振り子はその長さによって固有の振動数を持つことを示す. (1)棒に長さの違う3つの振り子をぶら下げ、そのうち、1つだけふらせることができることを示す。
(2)振り子の振動数は長さで決まること、振動数が同じ振り子には振動が伝わることを示す。
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スポンジの振動
物体には固有の振動があることを示す。(1)図のようにセットし、発振する。振動数を変えていくと、いずれ、1つのスポンジが共振を始める。
(2)他のスポンジがどのぐらいの振動数で共振を始めるか予想させ、振動数を変えてみる。スポンジは箱に接着してある。下が固定端、上が開放端になるのもよく見えるので、観察させる。おせんべいの空き箱スポンジ(大きな塊で購入、次のように切る)太さ30mm四方、長さ100~300mmぐらい
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伸びたバネに蓄えられる量
物体に力を加えたとき、蓄えられる量は、力の大きさだけでなく、移動距離が関係することを示し、仕事とエネルギーを導入する。
(1)図のように装置をつなぎ、両側に引っ張る。このとき、各々のバネに加わっている力と、伸びを確定する。
(2)バネとバネの間を押さえ、両側のおもりをはなす。どちらが多くひっぱったか、確認する。
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仕事とエネルギー
仕事とエネルギーの関係を調べる
運動量と力積の関係でとらえることもできる。
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回転の勢い

角運動量保存則 ― 回転の勢い(向き、強さ)は保存されることを示す。
(1)回っているコマは放り投げても回転面が変化しない。
(2)地球ゴマを回して、持ってみる。向きを変えようとすると、意外と大きな抵抗を受ける。
(3)図の通り

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車輪の回転
角運動量保存則 ― 回転運動の慣性を実感させる。
(1)自転車の車輪をはずして、把手をつけたものを持ち、向きを変えてみる。
(2)同じものを回転させてから持つと、なかなか向きを変えられない。