北海岸

North Coast

 

第五日

北海岸へ 予定通り昼間は仕事と昼寝。

午後3時にレストランで食事。ちょうどそこに来たタクシーに乗り、アナケナビーチへ。ここで運転手に、「ここから北の海岸をおよそ10キロメートル歩いて7体のモアイのあるアキビまで行くから、日没時の午後9時にそこに迎えに来てくれ」と頼む。もっとも、運転手は英語を理解しないし私は島の言葉のラパ・ヌイ語とスペイン語ができない。上の内容をどのように伝えたのか覚えて
いないが、運転手は「分かった」と自信ありげであった。


アナケナビーチでは、軽食を作っている島のおばさんが私を見て飛びついてきた。昨日会ったときにいろいろ話をした(何語??)ので懐かしかったのか?


夕方5時に歩き始める。海沿いの崖の上、岩がころがっている道を快調に歩く。この地形のおかげで自動車が通れないのだ。人っ子一人いない。ところどころに放牧されている馬や牛がいる。彼らがもの珍しげに私をじーと見る。


しばらく行くと白骨がある。たぶん馬の骨であろう。明らかに人骨ではないが気味が悪い。昔、この島では、敵の捕虜を食べるというガニバリズムの習慣があったと聞いているので。


北海岸の険しい風景に見とれる。ところどころに遺跡がある。モアイの破壊像もある。壊れて立つ顔が語りかけてくるようだ。だれもいないところでモアイに会うと、古い友人に会ったような懐かしさも覚えた。


最北端に着いたころから道を急ぎたいと近道のつもりで山を登る。大きなお墓のような石組みがある。行けども行けどもちゃんとした道に出ない。


夕日が水平線に降りてくる。もう約束の9時に近い。やっと細い道を見つけた。しかし日が落ちて周囲はどんどん暗くなる。持ってきた懐中電灯を使う。天上には星。遠くにハンガロアの火が見える。この島には危険な動物はいないはずだと、自分に言い聞かせながら急ぐ。ようやく自動車道路らしい道に出た!


南へ歩く。突然闇の中で大きな物音!!放し飼いの馬が数頭、急に跳び上がって逃げていったのだ。さらに暗闇を歩く。もう10時を過ぎている。タクシーはもういないだろうから相当歩かなければならないだろう?朝までかかるだろうか?


遠くで犬が吠えている。そして自動車の音。懐中電灯を振ってみる。こちらに気づいたのか自動車が走ってくる。なんとあの運転手だ。助手席には彼の奥さん。おもわず運転手の手を握りグラッチェ!!!と叫んだ。約束を1時間過ぎても待っていてくれたのだ。チップはかわいい奥さんに渡した。


冒険の一日だった。それでも懲りず、明日は車を使うことにしてレンタカーを予約した。



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